ラップバトルとブログ
テレビでエミネムの「8マイル」を放送していた。
前から興味のある映画だったので、途中からだったが、見た。
内容としては、明日の見えない暮らしの中から
ラップのスキル一つで抜け出していこうとする若者(エミネム本人?)
の話で、最も盛り上がるのは、「シェルター」という、一見ガレージのような
ライブスペースで行われ一対一のラップ・バトルだ。
歌詞の内容は、基本的には相手を罵るものだが、
それが、なんともかっこいい。
何より、「一度きり」、「即興」の要素を含むところが、
聴衆の興奮をかきたてるし、それでこそ「バトル」が成立している。
即興的なものには、魅力がある。
ジャコ・パストリアスのライブしかり、
松本人志の「ガキの使い」でのトークしかり、
ロナウジーニョのドリブル&パスしかり、、、
8マイルの何時間か前に、レコード大賞が放送されていたが、
あれら演歌やポップスが、「ラップバトル」と根本的に異なるのは、
「何をどう演奏するか」が予め決まっているか否か、だ。
クラシックのコンサートとジャズのセッション、
落語と松ちゃんのトーク、
野球のピッチングとサッカーのドリブルは、
それぞれ目指しているものが異なる。
理想の型、フォームを追い求めて、いついかなる時にも
忠実にそれを再現できる自分に近づこうとする姿勢には、
それはそれの美しさがある。
しかし、状況に応じて臨機応変に、研ぎ澄まされた
感覚で反応し、「一度限りの」何かを見せるのは、
それとは「別の」美しさを確かに持つ。
そういう意味でいうと、文章というのは、
元より即興的な要素を大きく含む。
作家やブロガーは、思考するのとほぼ同時に
ペンやキーボードを動かす。それが記録される。
これは、一種の「即興」と言えるだろう。
つづく